近年、リモートワークが浸透したことで、二拠点生活や地方移住に踏み切る人が増えている。積極的に移住者の支援を行っている自治体もあり、新たなライフスタイルに注目が集まる中、今回はサーフィンをきっかけに憧れだった海辺の町に移住した家族を紹介していこう。
2022年に千葉県一宮町に移住した村田さんご一家。移住後は、近隣で採れる新鮮な野菜やフルーツが美味しくて驚いているとのこと。近所のスーパーに農家さんが作った採れたての野菜が並んでいるのは、都心では見られない光景だ。またこのエリアは温暖な気候を生かしたいちご農家も多く、村田さんご家族もみんないちごが大好き。自然に囲まれたこの土地の恵みのポテンシャルを感じる。

人々が集うカフェで働く

移住後半年ほどで転職を決意した翔平さん。都内からサーフィンをしに一宮町に通っていた頃、昔の知り合いが働くカフェがこの町にあることを知る。海で時々顔を合わせるようになり、サーフィン後には彼が働くPARASOL CLUBHOUSEに通い出した。その後、縁あって今はこのカフェの店長として忙しく働いている。
「前々職は飲食店で働いていたので、カフェで働くこと自体に抵抗がなかったことと、このお店に集まる人たちがなんかいいなと思って。常連のお客さまや海で繋がっている知り合いが多いので、自然と会話はその日の波の話になるのも、この町ならではですよね」と翔平さん。
東京五輪後、サーフィン人口は増加しており、一宮町に訪れるサーファーも増えている。それに伴いお店に立ち寄ってくれるお客さまも年々増加。リピーターのお客さまも多いので、新メニューの開発や曜日ごとのメニュー替えなど、飽きないように工夫を凝らしている。海を愛する人たちが集うお店として、この町を盛り上げていきたいと考えているそうだ。

毎朝のルーティンが幸せ

この町に移住してからの翔平さんのルーティンは、朝一番の誰もいない海に入ること。そこで全てがリセットされ、『今日もいい1日にしよう』と心穏やかにスタートする。 この朝の時間は、サーフィンを楽しむことはもちろんだが、海で会う仲間たちと海の上で世間話をするのも楽しみのひとつ。みんな年齢も職業もバラバラだが、海の上ではただ一緒にいい波を待つ仲間たち。そこには不思議な連帯感が生まれているようだ。
朝のサーフィン時間が終わったら、次は愛犬ソルのお散歩へ。毎朝3kmほど散歩をしているので、自然とカラダも引き締まってきたとのこと。ようやく自宅に戻ったかと思うと、今度は娘さんを保育園へ送りに。 「とにかく朝の時間帯が一番忙しいですね。でもこのルーティンが僕を支えてくれています」

これから先もこの町と

一宮町に移住して、間もなく2年が経つ。
この春には第二子の誕生も控えており、さらに賑やかな生活がやってくる村田さんご一家。 「海もあって、山もあって、自然が身近にあるこのエリアは子どもも楽しんで過ごせるんじゃないかなと。いずれ子どもたちが大きくなって、一緒にサーフィンがしたいと言ってくれたら、全力で応援したいです。もしそうなったら、子どもと一緒に一生楽しめる趣味ができるのでそれも楽しみです」と翔平さん。

「移住して良かったことは、毎日サーフィンができること。そして家族との時間が大幅に増えたこと。自宅と職場が近く通勤時間が短いので、その分他のことに使える時間が増えました。これからも家族がいつも笑っていられたら、それだけでいい。僕自身は一生サーフィンをして、海と一緒に生きていきたいな」と。
ご家族が描いてきた生活が今はここにある。そしてこれからもこの町と一緒に続いていく。