日本屈指のサーフタウン鎌倉。そこには“湘南”とひとくくりにはできない独自のカルチャーがある。古都としての魅力と、海が身近にある暮らし。この夏は、どこか誇らしげにも見える鎌倉の人々の毎日に触れてみよう。

たくさんの人を笑顔で受け入れる懐の深さ

都心からわずか1時間ほど。多くの神社仏閣が並ぶ鎌倉は、訪れるだけでタイムトリップしたような気分にもなる。どこか空気が澄んでいて、時間の流れがゆっくりに変わる。四季折々の美しい自然も魅力のひとつで、一年中観光客で賑わっているのだ。そして、鎌倉の風景を代表する鶴岡八幡宮からまっすぐ海へ向かって歩くと、その空気は一変する。広々とした由比ヶ浜海岸では、子供から大人まで、誰もが笑顔を見せる。大きな空と青い海に包まれながら、想いおもいにそれぞれの時間を過ごす。
由比ヶ浜海岸といえば、サーフィンのメッカ。近隣のビーチもほぼ波乗りができるため、波を求めて移住する人も多い。初心者から上級者までを満足させてくれる波がブレイクしており、古くからサーフカルチャーが育まれてきた。鎌倉を拠点とするサーフショップやサーフブランドも多く、世代を超えて引き継がれていく。親子でサーフィンを楽しむ姿は、鎌倉の日常的な風景。近所の人たちがお互いに助け合い、海を温かく見守り続ける。それは忘れかけた日本の原風景と少し似ている。

この場所で生まれ育ったから感じる夏の魅力

サーフィンが人々の暮らしに根付いている鎌倉は、当然プロサーファーやサーフフォトグラファーも多い。鎌倉で生まれ育ち、自身もサーフィンを愛する写真家の三浦安間さん曰く、「鎌倉の夏は、いきなりお祭りが始まる感じ。海水浴客も日本で一番訪れる場所だと思うし、とにかく町がいきなり騒がしくなる。海沿いに住んでいるというのもありますが、誰もがワクワクしているのを感じます。もちろん一年中観光客が訪れる場所ですが、夏だけは鎌倉の空気が何か違う。町が一気に活気づいて、『ああ、今年も夏が来たな』と嬉しく思うんです」
1人でのんびり過ごしたい時には、近くのお寺へと向い、移り変わる光の様子を眺めるという三浦さん。「鎌倉にはたくさんお寺や神社があるんですが、屋根の大きいところは意外に少ないんですよ。木の影が瓦に落ちる姿も風情がありますよね」
夏はオンショアの波が多いことから、夕暮れの写真を撮るのも好きだという。「海水浴客やサーファーの姿がシルエットのようになるんです。風が強いから霧のようにも見えて、すごく幻想的な風景になる。そこに夕日が差し込む瞬間が最高ですね」

色彩豊かな鎌倉の日常に魅せられて

さて、鎌倉を代表するもうひとつの風景といえば、相模湾越しに見える富士山。葛飾北斎による『富嶽三十六景』でも広く知られるそれは、今も変わらない。長い年月を経て愛され続ける数々の景色。鎌倉が鎌倉である所以はこんな日常にあるのかもしれない。夏はビーチに海の家が続々オープンし、花火大会も行われる。春夏秋冬。日本に四季がある喜びをたっぷり感じさせてくれるこの町は、やっぱり何度も訪れたいと思わせてくれる。同時に、サーフィン、SUP、カヌー、トレッキングなど、自然と触れ合う遊びは無限。世界を渡り歩いたアウトドアの強者が、この町に根を下ろすのも理解できてしまうのだ。